訪問が終わった日の夕方ではなく、訪問の「前日」に上司へ報告する。キーエンスの営業は、そういう帳票を書いていました。外報(がいほう)と呼ばれるものです。

転職を考えている営業にとって、大事なのは帳票そのものではなく、その会社の営業が、個人の勘ではなく仕組みで回っているかです。キーエンスの仕事の仕方から、その見分け方を整理します。

外報は、前日と当日の二部構成

一般的な営業日報は、訪問した後に何があったかを書く事後報告です。キーエンスの外報は、前日と当日の二部構成になっています。

タイミング上長とのやりとり目的
事前(訪問の前日)「こういう面談に行きます」「目的はこうです」と共有し、確度を高めるアドバイスをもらう行く前に打ち手を磨く
事後(訪問の当日)終わった当日に報告し、その案件を次にどう進めるかを相談する次の一手をその日に決める

外報は、書いて終わりの記録ではありません。事前の相談と、事後の意思決定のための道具です。帳票の項目や、あとで集計できる形にする設計については、営業日報は何のためにあるのかで詳しく解説しています。

入社したばかりの営業にとって、何が違うのか

訪問の前日に相談できると、新人でも「何をすればいいか」が見えます。訪問が終わった日のうちに次の一手を決められるので、案件が止まる時間も短くなります。

岩田の実務データでは、面談人数が1人のときの展開率は10%前後、2人で20%、3人以上で30%ほどに上がる傾向がありました。決裁者と担当者がペアで同席した面談は、そうでない面談と比べて、展開率がおよそ倍になります。

だから、面談人数と同席状況を、毎回記録します。訪問件数という「量」だけでなく、どんな役職の人に会えたかという「質」も、同じ帳票で見えるようになります。

※本稿の数値は、岩田がキーエンスやスタートアップで見てきた実務に基づく傾向です。現在の同社の運用を示すものではありません。

転職先の営業が「仕組みで回っているか」を見抜く3つの質問

キーエンスに行く人だけの話にする必要はありません。営業職の転職先を選ぶとき、面接で次の3つを聞いてみてください。会社の営業が個人の勘に預けられているのか、仕組みで回っているのかが、答え方に出ます。

  1. 訪問の前に、上司に相談する場はありますか。 事後報告だけの会社では、確度を上げる支援は受けられません。
  2. 訪問件数のほかに、どんな役職の人に会えたかを記録していますか。 量しか見ていない会社では、数を稼ぐ動きが評価されやすくなります。
  3. 案件が止まったとき、誰と、どのタイミングで次の手を決めますか。 その日のうちに相談できる相手がいるかどうかで、立ち上がりの速さは変わります。

まとめ

  • キーエンスの外報は、事前の相談と事後の意思決定のための帳票
  • 前日に相談できると、新人でも「何をすればいいか」が見え、案件が止まる時間も短くなる
  • 面談人数と同席状況まで記録し、量と質を同じ帳票で見る
  • 転職先の営業が仕組みで回っているかは、面接の3つの質問で見抜ける

関連記事