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KPI設計2026-06-08

KGIとKPIの違いとは?面談数を追うだけでは受注が伸びない理由とキーエンス流KPI設計の全手順

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KPIを「測るだけ」から「動かす」に変えるためのフレームワーク全体像を15ページにまとめた資料です。

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「面談数は目標通り達成しているのに、受注が全然伸びない」

営業マネージャーや経営者からこの相談を受けるのは、筆者のコンサルティング現場でも日常的だ。50社以上の支援を通じて気づいたのは、この問題の根本原因がほぼ共通しているということだ。KGIをそのままKPIとして扱っているか、KPIの「質」——つまり因子の設計——が欠けているかのどちらかである。

KGIを動かすのは「因子」だ。因子が定義されていないと、マネージャーは数字が悪くても「もっと頑張れ」「もっと面談を増やせ」としか言えなくなる。当然、組織は改善しない。数字は上がらない。チームは疲弊する。

この記事では、KGIとKPIの本質的な違いから始まり、因子をどう発見し・どう設計し・どう管理するかを、キーエンス時代の実体験と現在のコンサルティング現場から得た知見をもとに、具体的な手順として解説する。


KGIとKPIの定義——「目的」と「因子」の違い

KGIは「何を達成したいか」

KGI(Key Goal Indicator)とは、最終的に達成したい目標の指標だ。受注数、売上、ARR(年間経常収益)、新規顧客獲得数——これらはすべてKGIの典型例である。KGIは「結果」であり、直接コントロールすることはできない。

KPIは「KGIを動かす因子の指標」

KPI(Key Performance Indicator)とは、そのKGIを動かす「因子」の指標だ。ここで重要なのは、KPIはコントロール可能な変数でなければならないという点である。担当者が今日から行動を変えることで動かせるもの、それがKPIの本質だ。

多くの教科書では「KPIはKGIに至るまでの中間指標」と説明される。この説明は間違いではないが、現場では単純な発想——「面談数を増やせばKGIが達成できる」——につながってしまうことが多い。面談数を追うこと自体は入口として正しい。問題は、そこで思考が止まってしまうことだ。

よくある誤解——面談数はKPIではない(単体では)

面談数が月50件でも、大手10件・中小40件と大手30件・中小20件では受注率は大きく変わる。「ミックスの質」が抜け落ちているからだ。KPIとは「面談数」ではなく、「受注率に影響を与える因子を特定したうえで設計された指標群」だ。


なぜ「面談数を増やせ」だけでは限界が来るのか

まず業務を分解・分業しないと面談数すら増やせない

支援先の現場でよく見かける光景がある。営業担当者が、新規営業・既存顧客のフォロー・納品対応・問い合わせ対応をすべて一人でこなしている。その状態で「電話の本数を増やせ」と言っても、物理的な限界がある。

解決の第一歩は業務の分解と分業だ。役割を分けることで、各担当者が本来の業務に集中できる。

ここで見落とされがちな問題がある。Apple to Apple比較の問題だ。業務が混在していると、担当者間の正当な比較ができない。「今週は既存顧客のトラブル対応が多かった」という言い訳が通用する環境では、組織全体の数字は永遠に上がらない。

業務を分解し、同じ役割の担当者同士を比較できる体制を作ること。これが因子設計の大前提であり、多くの会社が見落としている第一の誤解ポイントだ。

活動量が上がると、次は必ずクオリティの壁にぶつかる

業務を分解し、分業体制を整えると、面談数は確実に増える。しかしそれでも受注が伸び悩む時期が来る。このタイミングで議論のテーマを「量」から「クオリティ」に転換しなければならない。

面談数を上げ続けても、時間的な限界は必ず来る。量の改善に天井が見えたとき、次に問うべきは「同じ面談数でも受注が増える方法はないか」という問いだ。この「質」を可視化するためのツールが、中間KPIである。


中間KPIで「どこで詰まっているか」を可視化する

営業プロセスKPI:転換率で見るボトルネック診断
営業プロセスKPI:転換率で見るボトルネック診断

架電フェーズの中間KPI——コネクト率

アポイント数だけを見ていると、アポが取れない原因がわからない。そこで計測すべきがコネクト率だ。これは「架電した数に対して、担当者に繋がった率」を指す。

コネクト率が低い場合の原因診断と打ち手
コネクト率が低い場合の原因診断と打ち手
  • 受付ブロックが多い場合:トークスクリプトの問題→スクリプト改善
  • 担当者不在が多い場合:架電時間帯の問題→時間帯の見直し

受付ブロックと担当者不在では、打ち手がまったく異なる。コネクト率という中間KPIを計測していないと、マネージャーは「もっと電話しろ」としか指示できない。

商談フェーズの中間KPI——展開数(検討率)

面談から受注に至るプロセスで、もう一つ重要な中間KPIがある。展開数——つまり「お客様が検討してくれた数」だ。

展開率が低い場合:2パターンで打ち手が変わる
展開率が低い場合:2パターンで打ち手が変わる

展開すらされていない場合:

  • ターゲット選定の甘さ(課題を持っていないお客様に面談している)
  • デモ・提案のクオリティ(価値が伝わっていない)

展開されているが受注に至らない場合:

  • 意思決定者に会えていない
  • 商談後のネクストステップが設計できていない

この2つは打ち手が180度異なる。この区別ができていない組織は的外れな改善策を打ち続けることになる。


受注率を「ミックス設計」で上げる——キーエンス流因子分析

展開率は「誰と面談したか」で変わる

キーエンス時代、担当エリアの受注率が伸び悩んでいたとき、上司から最初に問われたのは「大手と中小企業の比率は何対何か」という質問だった。

  • 大手企業(従業員300名以上)への展開率:40%
  • 中小企業(従業員300名未満)への展開率:15%
面談ミックスを変えるだけで受注率は上がる
面談ミックスを変えるだけで受注率は上がる

現状(大手20%・中小80%):

40%×0.2+15%×0.8=20%

大手比率を50%に引き上げると:

40%×0.5+15%×0.5=27.5%

面談の総数はゼロのまま、訪問先の構成(ミックス)を変えるだけで展開率が20%から27.5%へ、7.5ポイント改善する。「なぜ受注が伸びないか」が数字で説明できるから、「何を変えればいいか」も明確になる。

チャネル別でも同じ分析が使える

チャネル別展開率——勝ち筋はどこにあるか
チャネル別展開率——勝ち筋はどこにあるか
  • 引合(インバウンド)経由:展開率60%
  • 展示会経由:展開率35%
  • 能動営業(アウトバウンド)経由:展開率12%

この数字が出れば、打ち手は自ずと明確になる。勝ち筋が見えているチャネルにリソースを集中投下すること。これが因子分析から導き出される、最も合理的な戦略だ。


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改善サイクルを早める——時間軸の設計

管理頻度を上げるほど改善サイクルは早まる
管理頻度を上げるほど改善サイクルは早まる

多くの会社では月次でKPIを振り返る。しかし月次管理では、改善サイクルが月に1回しか回らない。1年で12回しかPDCAを回せない計算になる。

  • プロセスKPI(面談数・展開率・コンバージョン率)は週次で管理する
  • 活動KPI(架電数・訪問数・メール送信数)は日次で管理する

キーエンスの組織的な強さの一端は、まさにこの「追う頻度」にある。週次・日次で数字に向き合うことで、問題が起きてから対処するのではなく、問題が起きそうなサインを週の半ばで捉えて手を打てる。


KGIとKPIの設計手順まとめ

KGI→KPI設計の6ステップ
KGI→KPI設計の6ステップ
ステップ内容
1KGIを定義する
2業務を分解・分業してApple to Apple比較できる体制を作る
3プロセスKPIを設定し、転換率でボトルネックを特定する
4規模別・チャネル別・新規既存別に展開率を計測し因子を特定する
5因子をKPIとして定義し、ミックスを設計する
6管理頻度を週次・日次に落とし込む

まとめ

KGIとKPIの違いを一言で言えば、「目的」と「因子」の違いだ。

KGIKPI
問い何を達成したいか何を動かせばKGIが変わるか
受注数・売上大手比率・展示会面談数・転換率
性質結果因子(コントロール可能な変数)

面談数を追うことは入口として正しい。しかしそこで思考を止めてはいけない。業務を分解して比較可能な体制を作り、コネクト率・展開率などの中間KPIでボトルネックを特定し、ミックス設計で因子を見つけ、週次・日次の管理で改善サイクルを回す。この4段階を順番に実行することで、「面談数を増やせ」という指示だけでは届かない成果の次元に到達できる。


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