ロジックツリーを作ろうとして、最初に検索するのが「どのツールで作るか」だとしたら、順番が逆になっている。
きれいな図は、会議ではうける。だが翼週の現場を変えるのは図の見た目ではなく、切り口と、そこに入っている数字だ。しかもツリーは一度描いて終わりではなく、毎週数字を入れ替えて使うものである。この二つを考えると、実務ではエクセルかスプレッドシートが最も強い。
本記事では、エクセル・スプレッドシート・パワポそれぞれでの作り方と向き不向き、そのままコピペできるテンプレート、そして数式でボトルネックを自動的に浮かび上がらせる方法までを扱う。
ロジックツリーの定義や分解の考え方はロジックツリーとは?4種類の使い分け・作り方・テンプレートにまとめている。
ツールを選ぶ前に決めること
どのツールでも、次の3つが決まっていなければ同じだけ無駄になる。
- 頂点の問いを一文で書けているか(「今期の受注件数が30件足りない」のように数字入りで)
- 切り口を複数並べて選んだか
- 各枝に入れる数字が取得できるか
とくに3つ目が重要だ。図を描いてから「この指標、実は測っていなかった」と気づくのでは遅い。先に手元のデータを確認してから切り口を決めると、手戻りが減る。
エクセル・スプレッドシートで作る
作図ツールで描くと「綺麗だが更新されない図」になりやすい。表計算ソフトを推すのは、数字を入れた瞬間に差分が自動で出るからだ。
基本の列構造
階層を横に、指標を縦に並べる。
| A列 | B列 | C列 | D列 | E列 | F列 |
|---|---|---|---|---|---|
| 階層1 | 階層2 | 現状値 | 目標値 | 差 | 達成率 |
| 既存案件 | 既存案件数 | 120 | 140 | -20 | 86% |
| 既存案件の獲得率 | 52% | 65% | -13pt | 80% | |
| 新規案件 | 面談数 | 210 | 200 | +10 | 105% |
| 展開率 | 38% | 40% | -2pt | 95% |
この例では、面談数は目標を超えているのに既存案件の獲得率が80%しかないことが一目でわかる。受注件数を合算で見ていたら、この症状は見えない。
達成率を入れてボトルネックを自動検出する
F列に達成率を入れておくと、毎週の更新でボトルネックが勝手に浮かび上がる。
F2 = C2 / D2
条件付き書式:
F列が 90% 未満 → 赤で塗りつぶす
これだけで、会議で「どこが問題か」を議論する必要がなくなる。赤いセルを見て、そこの話から始めればよい。ツリーをエクセルで持つ最大の利点はここにある。
さらに一歩進めるなら、掛け算の枝は実際に掛けて検算させる。
新規受注件数(予測)= 面談数 × 展開率 × 展開獲得率
= 210 × 38% × 62% ≈ 49件
各枝の現状値を入れるだけで着地見込みが出る。目標との差が見えれば、どの枝を何%動かせば届くのかを逆算できる。
階層を横に並べる理由
インデントで階層を表現したくなるが、セル内の字下げで階層を作るのは避けた方がよい。 並び替えや集計が効かなくなるからだ。階層ごとに列を分けておけば、あとからピボットテーブルで集計できるし、別の切り口で見直すのも容易になる。
週次会議の資料にそのまま乗せる
末端の行に、週次の実績を横に並べる。
指標 | 目標 | W1 | W2 | W3 | W4
────────────┼──────┼─────┼─────┼─────┼────
既存獲得率 | 65% | 51% | 54% | 52% |
面談数 | 50 | 48 | 55 | 52 |
展開率 | 40% | 36% | 39% | 38% |
この形にすると、ツリーがそのままモニタリングシートになる。別の資料を作る必要がない。ツリーを描いて満足して終わるケースの多くは、描いた図と日々見る資料が別物になっていることが原因だ。
パワポで作る
報告資料や提案書に入れるならパワポが適する。
SmartArtを使う
「挿入」→「SmartArt」→「階層構造」→「横方向階層」を選ぶ。テキストウィンドウにTabキーで階層を下げながら打ち込むと、自動でツリーになる。手早いが、枝が増えると文字が勝手に縮むので、枝が10を超えると実用に耐えなくなる。
図形で作る
枝が多い場合は、角丸四角形+カギ線コネクタで組む。コツは2つだけだ。
- 揃えを使う。 複数選択して「配置」→「上下に整列」で間隔を均一にする。手動で並べると必ずずれる
- 階層ごとに色を変える。 濃い→薄いのグラデーションにすると、見る側が階層を意識せずに追える
パワポが向かない場面
数字を毎週更新する用途には向かない。パワポは「確定した結論を伝える」ための道具であって、考える途中や運用に使うものではない。エクセルで回し、報告するときだけパワポに転記するのが現実的だ。
専用の作図ツールは必要か
MiroやLucidchartなどのツールは、複数人で同時に考える場面では強い。ワークショップで切り口を出し合うときなどは、付箋を動かす感覚で使える分だけ優位だ。
一方で、数字を持って運用する段階に入ったら表計算ソフトに戻すのが良い。作図ツールは計算と集計が弱く、結局「綺鹷だが誰も更新しない図」になりやすい。
選び方の目安はこうなる。
| 場面 | 適しているもの |
|---|---|
| 切り口を出し合う(複数人) | ホワイトボード、Miro |
| 数字を入れて検証する | エクセル、スプレッドシート |
| 毎週運用する | スプレッドシート(共有が楽) |
| 経営層に報告する | パワポ |
