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KPI設計・フレーム2026-08-27

ロジックツリーの例|Why・How・Whatツリーの具体例と売上分解のパターン集

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「作り方はわかった。で、自分の課題ではどう書くのか」

ロジックツリーで詰まるのは、たいていここだ。手順を読んで納得しても、いざ自社の数字を前にすると手が止まる。型と実物のあいだには距離がある。

本記事はその距離を埋めるための例題集である。What・Why・Howの3種類それぞれに実例を並べ、さらに使用頻度が最も高い「売上」「受注件数」のテーマで実務的な分解パターンを示す。悪い例と良い例を対にして載せるので、自分のツリーがどちらに近いかを照らしながら読んでほしい。

定義や作り方の手順そのものはロジックツリーとは?4種類の使い分け・作り方・テンプレートにまとめている。


Whatツリーの例:要素分解

Whatツリーは「何で構成されているか」を割る。原因を探す前に、全体の地図を描く工程だ。

例1:売上を分解する

売上 = 客数 × 客単価
     =(新規客数 + 既存客数)× 客単価

ただしこの形で止めると打ち手が出ない。Whatツリーの良し悪しは「どの切り口で割ったか」で決まる。 同じ売上でも、割り方によって見えるものが変わる。

切り口分解これで見えること
プロセス(掛け算)面談数 × 展開率 × 獲得率どの工程で落ちているか
顧客属性(足し算)新規 + 既存どちらの層が弱っているか
商品別(足し算)製品A + 製品B + 製品Cどの商材が伸び悩んでいるか
チャネル別(足し算)直販 + 代理店 + Webどの経路が詰まっているか

実務では複数の切り口を試し、枝ごとに違う打ち手が出るものを選ぶ。どの枝を見ても同じ施策になるなら、その切り口で割る意味はない。

例2:コストを分解する

営業コスト = 人件費 + 変動費
  人件費 = 人数 × 一人あたり人件費
  変動費 = 案件数 × 案件あたりコスト

コストで注意したいのは、削減の打ち手が「人数を減らす」に直行しがちなことだ。案件あたりコストの枝まで下ろすと、「移動を減らす」「提案書作成の時間を削る」といった、人を減らさずに効く打ち手が見えてくる。

悪い例との対比

【悪い例】売上 = 営業力 + 商品力 + ブランド力
【良い例】売上 = 客数 × 客単価

悪い例は一見それらしいが、足し算として成立していないうえ、測定もできない。「営業力」は数字ではないので、現状値も目標値も入らない。Whatツリーの枝は必ず「数えられるもの」でなければならない。


Whyツリーの例:原因追及

Whyツリーは「なぜそうなっているか」をさかのぼる。Whatツリーで問題の所在を絞ったあとに使う。

例:受注件数が計画に届かない

受注件数が30件足りない
 ├─ なぜ? 面談数が足りない
 │   ├─ なぜ? 架電数が足りない → 活動量の問題
 │   └─ なぜ? 架電はしているがつながらない → リスト・時間帯の問題
 ├─ なぜ? 面談しても展開に至らない
 │   ├─ なぜ? ターゲットがずれている → 選定基準の問題
 │   └─ なぜ? デモで刺さっていない → 提案品質の問題
 └─ なぜ? 展開したが競合に負けた
     ├─ なぜ? そもそも相見積もりが多い → 遭遇率の問題
     └─ なぜ? 比較されると負ける → 競合負け率の問題

同じ「受注件数が足りない」でも、たどり着く真因は3系統に分かれる。 そして系統ごとに打ち手がまったく違う。活動量の問題なら架電管理、提案品質ならロープレ、競合負けならターゲティングか比較軸の設計だ。

「なぜ」を止める場所

よく「なぜを5回繰り返せ」と言われるが、回数は本質ではない。止める基準は「その原因に対して手が打てるか」である。

「なぜ架電数が足りないのか → 人が足りないから → なぜ人が足りないのか → 採用ができていないから」まで下りると、営業チームの手を離れてしまう。四半期で動かせる範囲を超えたら、そこが止めどきだ。


Howツリーの例:手段展開

Howツリーは「どうやって解決するか」を広げる。Whyツリーで真因を特定したあとに使う。

例:面談数を増やす

面談数を増やす
 ├─ 母数を増やす
 │   ├─ 架電数を増やす(1日あたりの本数を決める)
 │   ├─ リストを拡張する(既存業界の未接触企業を洗う)
 │   └─ 流入を増やす(問い合わせ経由を営業に回す)
 ├─ 転換率を上げる
 │   ├─ 架電の時間帯を変える
 │   ├─ トークの冒頭20秒を作り直す
 │   └─ 受付突破のパターンを共有する
 └─ 取りこぼしを減らす
     ├─ 日程調整の返信を当日中にする
     └─ 直前キャンセルのリマインドを入れる

Howツリーで大事なのは、末端が「明日やること」になっているかだ。「トークを改善する」では止まっていない。「冒頭20秒を作り直す」まで来て、はじめて担当者が動ける。


売上・受注件数の分解パターン

実務で最も使われるテーマなので、そのまま使える形を置いておく。

受注件数 = 既存案件 + 新規案件 - 競合負け数

  既存案件   = 既存案件数 × 既存案件の獲得率
  新規案件   = 面談数 × 展開率 × 展開獲得率
  競合負け数 = 遭遇率 × 競合負け率

これはキーエンスで実際に使われていた分解だ。ポイントは3つある。

1. 既存と新規を足し算で割る。 多くの組織は当期の新規案件に注意が向き、既存案件の獲得率が静かに落ちていることに気づかない。合算した受注件数だけを見ていると、新規の増加が既存の劣化を覆い隠す。

2. それぞれを掛け算でプロセスに下ろす。 足し算で性質の違う塊に分け、掛け算で歩留まりを見る。この組み合わせが実務では効く。

3. 競合負け数を引き算で外に出す。 獲得率に混ぜず独立させると、「遭遇率 × 競合負け率」に割れる。そもそも競合と当たらずに勝つ(指名で勝つ)話と、当たったうえで勝つ話は、打ち手がまったく違うからだ。

この分解の背景と、なぜこの形が現場を動かすのかはロジックツリーとは?4種類の使い分け・作り方・テンプレートで詳しく解説している。営業ファネルの各指標の設計はフィールドセールスKPI設計インサイドセールスのKPI設計にまとめた。


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場面別の例

採用

採用充足率 = 応募数 × 書類通過率 × 一次通過率 × 最終通過率 × 内定承諾率

歩留まりのどこで落ちているかで打ち手が変わる。書類通過率が低ければターゲット設定か評価基準、内定承諾率が低ければ関係構築か条件提示の問題だ。詳細は採用KPIの設計で扱っている。

マーケティング

マーケ起因受注数 = MQL数(量)× MQL→SQL転換率(質)

リード数をKGIに置くと「数は増えたが受注が増えない」状態になりやすい。量と質の2軸に割るのが基本形だ。詳しくはマーケティングKPI完全ガイドを参照。

カスタマーサクセス

NRR = チャーン防止軸 + アップセル拡張軸

NPSをKGIに置くとアップセルの管理が抜け落ちる。2軸に分けて独立して管理する。


良い例と悪い例の見分け方

自分のツリーを次の5点で点検してほしい。ひとつでも×があれば、まだ道具になっていない。

チェック項目×の例○の例
枝が数えられるか営業力、意識、連携面談数、展開率、架電数
分解が掛け算か足し算か並べただけ×か+で結べる
末端が行動か展開率を上げる大手企業との面談比率を週次で見る
切り口を複数試したか第一案のまま3案並べて選んだ
数字が入っているか構造だけ現状値・目標値・差

とくに引っかかりやすいのが3つ目だ。階層を深くすることと、行動まで下ろすことは別物である。 5階層あっても末端が「意識を高める」なら未完成だし、2階層で行動が決まるならそこで十分だ。


まとめ

  • Whatツリーは切り口の選択がすべて。複数試して、枝ごとに違う打ち手が出るものを選ぶ
  • Whyツリーは手が打てるところまでさかのぼる。回数ではなく可動域で止める
  • Howツリーは明日やることまで下ろす。「改善する」で止めない
  • 売上・受注件数は「足し算で塊に分け、掛け算でプロセスに下ろす」が実務の型

例をなぞるだけでは自社のツリーにならない。自分の数字を入れて、最も乖離の大きい枝を1つ選ぶところまでやって、はじめて意味が出る。


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