フィールドセールスKPIの正しい設計法 | パス待ち営業から脱却し「展開」で受注を最大化する
FSは商談を待つ仕事ではありません。自分でアポを取り、自分で受注する。これが本来のフィールドセールスです。IS/FS兼務を前提とした活動設計、キーエンス由来の「展開」概念による中間KPI、新規・チャネル・規模での分解管理──スタートアップで実装してきた、経営層・営業マネジメント向けのFS KPI設計を解説します。
パス待ちフィールドセールスはなぜダメか
私はパスを待っているだけのフィールドセールスは良くないと考えています。口を開けてパスを待つだけなら、正直誰でもできてしまいます。
理想は、ISもFSも自分で両方やる体制です。私自身、スタートアップでCOOをやっていた時も、FSのKPIにIS業務(コール件数、アポ獲得数)をきちんと評価項目として組み込んでいました。
FS側がコールやIS業務をやらないと、何が起きるか。お客様が稼働している営業時間中に、ひたすら提案書を作り続けるという状態になります。これは時間の使い方として間違っています。お客様が動いている時間に営業活動をせず、デスクワークだけをしているのは、FSとしては浮いた状態です。
例外は、エンタープライズセールスでタッグを組んで動くケースです。担当を完全に分けて、ISがアポを取りFSがクロージングに集中する設計が機能する場面もあります。ただし、これは例外であり、ほとんどの場合はFS自身がコール業務を持つべきです。
IS/FS兼務(原則)vs 分業(例外)の使い分け
IS日とFS日を明確に分ける
ただし注意点があります。IS業務とFS業務を中途半端に混ぜると、コネクト率が下がります。
インサイドセールスで電話して担当者に繋がる確率は、おおよそ3割です。担当者を捕まえるには、午前中にかけて、午後の在席タイミングを狙うといった時間帯設計が必要になります。FSの合間にちょこちょこコールを挟むやり方では、この時間帯設計ができません。結果としてコネクト率が落ち、アポも取れず、IS活動そのものが形骸化します。
だからIS日とFS日は明確に分けます。「今日は1日コール」「今日は1日商談」という形でスケジュールをフィックスします。
もう一つ重要なのは、電話業務は心理的負荷が高いという事実です。コール業務は正直しんどい。だから人は色々言い訳をして、電話しなくなります。商談の準備、提案書の作成、社内ミーティング、いくらでも「やらない理由」は生まれます。だからこそ、スケジュール上で物理的にIS日をブロックしてしまう運用が必要になります。意志ではなく仕組みで電話を担保するのです。
NG例(合間にコールを差し込む)と推奨例(曜日単位で分ける)
中間KPI「展開」がフィールドセールスの心臓
ここからが本題です。FSのKPIで最も重要なのが、面談と受注の間にある中間KPI「展開」です。
「展開」はキーエンス用語ですが、Exgrowthが支援する企業でも積極的に使っています。意味するのは、担当者が検討の意思を明確に示した案件のことです。
展開は次のように分けて管理します。
- 展開F:当期中に受注できる可能性のある案件
- 展開N:次期に受注できる可能性のある案件
キーエンスは半期単位で見ていくので、展開Fは「今期売れる確率があるもの」、展開Nは「来期売れる可能性があるもの」となります。
加えて、大手向けには「申請」というフェーズを設けます。大手企業では予算申請プロセスがあるため、申請数、申請通過率、申請通過後の検討期間、申請からの獲得件数といった指標を見ていきます。SMBは展開F/Nで管理し、エンタープライズは申請フェーズを加えて管理する。両軸で見て判断する設計です。
面談→展開→受注のファネルと各分断点
なぜ展開という中間KPIが必要か。受注までのリードタイムは長いです。受注だけを見ていると、「そもそも展開が出ていないのか」「展開は出ているが受注に至らないのか」が判別できません。これは全く別の問題です。
- 展開が出ない:刺さるPRができていない、ターゲットが適切ではない、初回面談の質が低い
- 展開から獲れない:競合に負けている、提案内容が弱い、価格で折り合わない
原因が違えば打ち手も違います。展開KPIを置かずに受注だけを追うと、この切り分けができず、PDCAが回りません。
「展開が出ない」vs「展開から獲れない」の原因と打ち手
