ガイド#スタートアップ2026-05-25

シリーズA前後の組織づくり|10〜30名で必ず仕込むべき仕組み化4選

岩田 圭弘岩田 圭弘Exgrowth株式会社 代表取締役

この記事は、組織・人事の流れのうち「制度設計」の話です。

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スタートアップの経営をしていると、日々の忙しさに追われて「まだ整ってないけど仕方ない」と後回しになってしまうものがいくつもあります。中でもよくあるのが、評価制度や採用の仕組みづくり、営業の再現性設計といった「組織を支える基盤の整備」です。

私自身、これまで複数の企業で1人目の立ち上げから数百人規模の組織成長までを経験してきましたが、シリーズA前後(社員数でいうと10〜30名程度のタイミング)は、経営の難易度が一段階上がる"変曲点"だと強く感じています。

今回は、そのタイミングで必ずやっておきたい3つの仕組み化と、よくある落とし穴についてお伝えします。

1. 評価制度は「早すぎるくらいでちょうどいい」

「まだ人数少ないし、評価制度なんて後でいいでしょ」そう思っているスタートアップ経営者は少なくありません。ですが、それが大きな落とし穴になります。

理由はシンプルで、評価制度がないと、採用も育成も崩れるからです。

たとえば、

  • どんな基準で昇給するのかが曖昧
  • 活躍しているつもりのメンバーが正しく評価されない
  • 採用面接で「うちの評価はざっくり…」としか言えない

こうした状態が続くと、優秀な人材は定着しませんし、組織全体が不安定になります。

このフェーズでは、いきなり完璧な評価制度を目指す必要はありません。まずはKPI(行動目標)を評価にしっかり組むこむことから始めましょう。

2. 「売れる人が売れる」から「誰でも売れる」への転換を

スタートアップの初期は、創業メンバーがとにかく走って売ってくるのが基本です。ですが、シリーズAを迎える頃には、「自分たちだけが売れる」から「他のメンバーでも売れる」への転換が求められます。

これは単なる営業の話ではなく、事業の再現性を担保するフェーズに入るということです。

では何をすべきかというと、具体的には以下のようなことです:

  • デモ資料、提案書、営業スクリプトのテンプレート化
  • 顧客からのQ&A集の整備
  • クロージングトークの型化
  • ツールやトラッキングの整備(CRMやSFA)

これらを整えることで、営業未経験の人でもある程度の成果が出せるようになります。結果として、「採用対象者の幅が広がる」「育成時間が短縮される」「営業の質が均質化される」という効果が得られます。いわゆる営業の型化ですね。

3. 採用は「設計勝負」。面接を構造化せよ

人が足りない。だから早く採用したい──。もちろんその気持ちは痛いほどわかります。ですが、このフェーズでの"採用ミス"は、想像以上に痛手になります。

特に注意したいのが、「スタートアップのイメージギャップ」です。

  • PRや採用ページがきれいに作られている
  • ミッション・ビジョンに共感して応募してくる人が多い

こういった背景から、"キラキラ"を期待して入ってくる人が一定数います。ところが、実態は泥臭く、日々の営業活動や泥臭い改善の積み重ねです。このギャップを面接で伝えきれないと、半年後に「なんか思ってたのと違う」と辞めてしまうケースも。

だからこそ、「面接の構造化」が必要です。

  • 面接官がどうやってValueフィットを見極めるのか?
  • 候補者にどう現実を伝えるか?
  • 1次、2次、最終で何を見極めるのか?
  • 求める人物像は刷りあっているか?

この設計ができている企業は、定着率も高く、入社後の成長スピードも段違いです。

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4. マネジメントの"適性配置"と「誰が取り持つか」の設計

この時期に浮上しがちなのが、「マネジメントの壁」です。メンバーが増えると、当然マネージャーが必要になります。でも、プレイヤーとして優秀だった人が必ずしもマネジメントに向いているとは限りません。

そこで重要なのが、「無理にマネージャーにしない」という選択肢です。

  • マネジメントに適性がない人にはスペシャリストの道を用意する
  • マネジメントが不安定なら"取り持つ人"を別で立てる

こうした柔軟な役割設計と、早期の軌道修正が、チームの健全性を保つカギになります。

まとめ:シリーズA前後でやるべき「3つ+1」の仕組み化

このフェーズでは、以下のことを優先的に取り組むべきです。

  • 評価制度の早期設計(特にKPIベース)
  • 営業の再現性づくりと型化
  • 採用と面接の構造化
  • +α. マネジメント配置とキャリアの柔軟設計

これらを早い段階で整えておくことで、シリーズB以降の組織スケールも格段に楽になります。

「忙しいから後で」と後回しにすると、"成長のブレーキ"として後から大きく跳ね返ってきます。もしあなたの組織が今、10〜30名規模なら、まさに今が"仕込みどき"です。

このフェーズをどう越えるかで、1年後、2年後の景色はまったく変わってきます。


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