サマリー
- McKinsey & Companyの継続調査によれば、B2B購買行動で使われる接点チャネル数は平均10.2にのぼり、2016年の5から倍増している。
- 購買プロセスのどの段階でも、対面・非対面(電話・オンライン商談)・デジタルセルフサーブの3種の接点が、業界を問わずほぼ均等に選好される「Rule of Thirds(3分の1の法則)」が確認されている。
- 買い手のうち2人に1人以上は、複数チャネルをまたぐ体験の質が悪いと、購入自体を取りやめるかサプライヤーを切り替えると回答している。
買い手が選ぶ3つの接点(Rule of Thirds)
コンサルレポート:買い手はもう自分で調べて動いている
McKinsey & Companyが継続的に実施している「B2B Pulse Survey」によれば、B2Bの購買担当者が意思決定に至るまでに使用する接点チャネルの数は平均10.2にのぼり、2016年の5から10年で倍増している。この調査は、購買プロセスのどの段階においても、対面での接触・電話やオンラインでの非対面接触・デジタルセルフサーブ(自己完結型のオンライン購入)の3種類の接点が、業界や国を問わずほぼ均等に選好されるという「Rule of Thirds(3分の1の法則)」を継続的に確認している。
さらに同調査では、買い手の54%が、チャネルをまたいだ体験の質が低い場合、購入を取りやめるか他のサプライヤーに切り替えると回答している。買い手はもはや単一チャネルへの依存を許容せず、チャネル間をシームレスに移動できることを前提とし始めている。
加えて、買い手が営業担当者との接触を検討し始めるタイミングも後ろ倒しになっている。複数の業界調査では、買い手の過半数が購買プロセスの後半になるまで営業担当者との接触を望まない傾向が報告されている。多くの買い手は、営業に連絡を取る前に、すでにデジタル上での情報収集や比較検討を相当程度進めている。
だから、営業組織は何をすべきか
- 「営業に会う前」の情報接点を整備する
- チャネルを選ばせず、チャネル間の移動を滑らかにする
- 営業担当者の役割を「情報提供者」から「後半の意思決定支援者」へ再定義する
岩田の視点
この前提は、顧客によっての温度差がはっきりある。Web経由で問い合わせてくる顧客は、実際に事前にかなり調べている。製品カテゴリそのものはすでに理解されているケースが多い。だからここで基本の状況質問やニーズ喚起のアプローチをやっても、顧客にとっては既知の話を聞かされているだけになる。
初回の目的は「情報提供」ではなく、2つの問いをクリアすること
すでにカテゴリを理解している顧客に対して、営業が初回でクリアすべき問いは2つだけだ。「なぜその製品カテゴリが必要なのか」と「その中でなぜ自社なのか」。この2つをクリアするだけなら、初回はこれで充分である。
本番はもう一回目で決まる
2回目で確認すべきは選定軸と実現したいことだが、この聞き方もレベルが一つ上がる必要がある。ベーシックな状況質問やニーズ喚起はほとんど不要で、代わりに中期経営計画などを踏まえたときの課題レベルの文脈で商談を広げる。「何を実現したいか」の一歩先を尋ねる。
提供する情報も変える。従来の業務がこの製品カテゴリでどう変わるかという基本説明は省く。代わりに「こういうことを実現したいのであれば、こういうやり方がいい」という、相手の文脈に即した提案を返す。相手が自力では手に入らないものだけを出す。
初回と2回目で、型を変える
つまり型は1本ではない。初回用の型(問いをクリアする)と、2回目用の型(選定軸を確認し、文脈に即した提案を返す)を別に用意する。後者を前者の延長でやると、既知の説明を繰り返して顧客の離脱を招く。
型は1本ではない
まとめ
買い手は、営業担当者に会う前からすでに購買プロセスを進めている。単一チャネルでの丁寧な接客よりも、買い手がどのチャネルを選んでも迷わず進める体験の一貫性の方が、購買結果を左右する時代になっている。
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出典
コンサルティングファームレポート
- McKinsey & Company, B2B Pulse Survey(2024年版・2026年版)
※本稿は学術論文ではなく、コンサルティングファームの継続調査に基づいています。
本記事の執筆・監修:50社以上の成長支援を手がけるKPIコンサル・岩田圭弘(Exgrowth株式会社 代表)