サマリー
- Gongが180万件の商談データを分析した結果、受注できた商談は、失注した商談に比べて関わった購買側の担当者数が2倍多いことが分かっている。
- 5万ドル超の商談では、複数の担当者と接点を持つ「マルチスレッディング」によって受注率が130%向上するという結果も報告されている。
- UserGemsの分析では、担当者1人だけの商談の勝率が5%であるのに対し、5人と接点を持つと勝率は30%まで上昇する、6倍の差があることが示されている。
接点の数と受注率の関係
データ:接点の数が受注率を決める
営業会話分析プラットフォームのGongが180万件の新規商談を分析したレポートによれば、受注できた商談は失注した商談に比べて、関わった購買側の担当者数が2倍多いことが分かっている。特に5万ドルを超える商談では、複数の担当者と同時に関係を築く「マルチスレッディング」によって受注率が平均130%向上するとされている。大型の戦略案件になると平均17人の担当者が関与しており、受注できた商談の営業側チーム規模も、失注した商談に比べて67%大きいことが報告されている。
同様の傾向は別の分析でも確認されている。顧客データ企業UserGemsが500件の商談を機械学習で分析した結果では、担当者が1人だけの商談(いわゆる「一匹狼」型)の勝率はわずか5%であるのに対し、5人の担当者と接点を持つ商談の勝率は30%まで上昇し、6倍の差が生じることが示されている。
一方で、実態としては多くの商談が単一担当者への依存から抜け出せていない。CRM上で接点が1人しか記録されていない商談が全体の7割に上るという報告もあり、理論と実務の間には大きなギャップがある。
だから、営業組織は何をすべきか
- 「良い関係を1人と築けている」で安心しない
- 接点数をCRM上で可視化する
- 営業側もチームで対応する
岩田の視点
接点を増やすのは誰の仕事かと問われれば、答えは個人の役割分担ではない。商談フェーズ管理の中に「決裁者と会えたか」をゲート条件として入れる。会えていなければ、ステージは進まない。
こうすると、接点を増やすのが誰の仕事かという問いは、途中から意味が変わる。方法ではなく、担当者の責任の問題になるからだ。
担うのは案件を担当するFSだ。接点を増やす動きそのものは、案件を獲得するためにFSが自分でやる。ただし実行の手段は一人で抱える必要はなく、いくつかの手がある。
- FSからISにフィードバックして、ISにアポを取ってもらう(商談が多いFSならこの連携が有効)
- 「マネージャーや役員も同席しますので、先方の上司の方も連れてきてください」とこちらから同格の役職で働きかける
接点を増やす2つの手段
この2つはあくまで手段だ。重要なのは手段を何本用意するかではなく、「決裁者に会えたか」が商談フェーズを進める条件として定義されているかだ。定義されていなければ、接点を増やす動きはFSの裁量に任せられ、優先順位は下がる。パイプラインレビューで見るべきは接点数そのものではなく、このゲートを通過しているかどうかである。
フェーズゲート化:会えていなければ進めない
まとめ
商談の成否を分けるのは、営業担当者個人の力量だけではなく、購買側・営業側それぞれで「何人が関わっているか」という接点の量そのものである。単一の担当者への依存は、担当者本人の能力とは無関係にリスクとなる。まずは自社の商談における接点数を可視化することから始めるとよい。
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出典
学術文献
現時点で、本テーマ(マルチスレッディングと受注率の関係)に直接該当する査読済み学術論文は確認できていません。本稿は営業データ分析企業による調査に基づいています。
業界調査レポート
- Gong, 商談データ分析(約180万件の新規商談分析)
- UserGems, 商談データの機械学習分析(約500件)
本記事の執筆・監修:50社以上の成長支援を手がけるKPIコンサル・岩田圭弘(Exgrowth株式会社 代表)