期初にパイプラインを開く。前の期に出したNが、一覧にずらりと並んでいる。ところが、最終コンタクトの日付を見ると、半年前のまま止まっているものが多い。担当者に聞くと、「そろそろ連絡しようと思っていた」と言う。
私がキーエンスで見てきた感覚では、前の期に出たNは、期をまたぐと半分くらい消える。誰かが断ったわけではない。連絡が取れなくなり、前に進まなくなり、いつのまにか動いていない案件になる。
この記事では、BtoB営業の休眠案件を、どう防ぎ、どう動かすかを書く。購入が止まった顧客にメールやDMを送る話ではない。営業が作った案件が、止まる話だ。
結論:休眠は、連絡の量ではなく「人」と「管理」で動く
先に答えを書く。
- 半分は消える:前の期に出たNは、期をまたぐと半分くらいが消える
- 理由は温度が下がること:競合に負けるより、期間が長くて相手の温度感が下がるケースが多い
- 動かすなら人を変える:同じ担当者に繰り返しても売れない。決裁者に当たりにいく
掘り起こしの前に、消える数を数え、消える前に管理する。この順番が大事だ。
休眠とは|この記事で扱う休眠
休眠顧客の掘り起こしというと、半年や1年取引がない顧客に、メールやDMを送る話が多い。BtoCやECでは、その方法が合う場面もある。
この記事で扱うのは、営業が作った案件が、動かなくなった状態だ。展開N(来期以降の検討として案件化したもの)、失注した案件、前に進まなくなった案件。顧客が離れたというより、案件が止まっている。展開F・展開Nの定義はフィールドセールスKPI設計に委ね、全体の判定は営業KPI大全にある。
Nは、期をまたぐと半分くらい消える
キーエンスで、10月から3月に出たNを例にする。そのNは、翌期(4月から9月)に持ち越される。持ち越されたNには、顧客社内の予算申請になるものと、申請にならずNのまま残るもの(残N)がある。そして、期をまたぐ間に、半分くらいは消える。
- 消える
- 顧客社内の予算申請になる(申請)
- 申請にならず、Nのまま残る(残N)
私の計算の目安は、こうだった。
- 期をまたぐと、半分くらいは消える
- 翌期に持ち越された申請は、3割くらい取れる
- Nのまま残った残Nは、10%くらい取れればいい
この3つで、次の期の見込みをおおまかに計算していた。数字はキーエンスで見た感覚値で、業種や商材が違えば変わる。他社の目安ではない。
大全では、N消滅数は測られないまま放置されやすい、と書いた。記録しなければ、物件は黙ってパイプラインから消える。「半分」という感覚は、その消える量の大きさを示している。
なぜ消えるのか|競合より、温度が下がる
消える理由で多いのは、担当者にコンタクトが取れなくなる、または案件が前進しなくなることだ。連絡がつながらない、競合に負けている、というのもある。ただ、どちらかというと、Nは期間が長いので、相手の温度感が下がってしまうケースが多い。
今すぐ必要ではないから、Nになった。時間が空けば、相手の優先順位は下がる。担当者が異動することもある。何も起きていないのに、案件は冷めていく。
消える前に防ぐ|月の仕組みにする
「忘れられていた」を防ぐために、私が実際にやっていたのは、次の3つだ。号令で「ちゃんと連絡しよう」と言っても、防げない。見る仕組みにする。
1. 次の期のパイプライン予測を、ちゃんと見る。
次の期にどれだけ物件が残るのかを、前もって確かめる。
2. 月が変わるタイミングで、FもNも物件管理を徹底する。
今期の案件(F)だけでなく、来期以降の案件(N)も、同じ頻度で見る。
3. 古い物件は、一旦パイプラインから外す。
最終コンタクト日からかなり日数が経っているもの、発生から何ヶ月以上も経っているものは、一旦外してしまう。これが結構大事だ。案件数が多いと、営業のフォローが回らなくなる。そこが問題になるケースが多いからだ。外した物件は、失注として扱う。日数や月数の基準は、自社の消えたNを数えて決める。
Nをクローズするのは、基本は失注のとき
Nのステータスをクローズに変えるのは、基本的に失注のケースがほとんどだ。受注するか失注するか、どちらかだからである。
閉じるときの流れは、こうしている。
- 失注として閉じる
- 責任者が「件数が溜まりすぎていないか」を確認する
- そのうえで、担当者がNG理由などを入力する
理由を残しておくと、あとで掘り起こすときの材料になる。失注理由の分類は失注分析とは、Nを閉じずに持ち越す考え方はSFAとはに書いた。

